英語を上達させるプロセスについて考える

ひとりの英語学習者の試行錯誤の記録

第21回 英語のフレームワークをつくるための基礎的な理解(2)

「英語らしい言い方」についての考察をまとめる企画第二弾は、主語の選択、について。

と書くとなんのこっちゃなんだけど、頭の中で英作文をするにあたって、主語を何にするかについてのフレームワークをつくっておくと、それに引きずられて残りの言葉も出てきたり、自然な表現になったりするんじゃないかっていう期待がある。日本語の主語と比較しながら検証していきたい。いままで書いてきた内容と被る部分もあるんだけど、ご容赦ください。

■ 主体と主語

□ 主体と客体、あるいは能動態と受動態

英語では常に主体が何か、ということを意識しておく必要があると感じている。前回紹介した、"The glass broke." の事例では、グラスは勝手に割れない、あなたが割ったんでしょ、という当たり前のことを言っているにすぎないが、他にも「彼から貰った」みたいな、日本語にありがちな、主体である「彼」を主語にしないタイプの文を "I was given from him." みたいに「訳して」しまうのも筋が悪い (もちろんこの場合は "He gave it to me." か "He gave me it." になるだろう)。

作用を表す動詞 (上記の例では "give" ) を使う際は、その主体と客体を意識する必要があるけども、客体の方が重要な場合もあるので、その場合はもちろん受動態を使う。

The suspect will be caught sooner or later.

もちろん、

The police will catch the suspect.

と言ってもいいんだけど、この場合、容疑者を捕まえるのは警察というのは明らかなので、受動態がしっくりくるように感じる。

同様に、以下のような文も、受動態がよさそう。

Rules are made to be broken.

日本語では「ルールは破られるためにある」となるが、英語において、このようなケースでは、前述のとおり、ルールは勝手に存在しない、作られるものだ、という原則が適用される。このように、一般化された事柄を述べる際は、能動態では表しにくい。

Salary is paid on the 25th of every month.

とか。

もうひとつ、受動態の適したパターン。

The problem has been solved.

これも客体にフォーカスしたパターンだけど、だれがその問題を解決したかを意図的にぼかしていることが、主体が明確なパターンと異なる。この場合だれが解決したかは重要ではなく、問題が解決されたことが重要なのだ、というニュアンスになる。

というわけで、原則として、(1)動作の主体を主語にする、(2)主体が明確である、一般的な事柄を述べる、または主体を明示したくない場合は動作の客体を主語にして受動態、という切り分けでいいように思う。

日頃から動作の主体は何か、主体と客体どちらが重要か、という点に気をつけて英作文していきたい。

□ it と there

もうひとつ、主語をどうするか、というときに考えなければいけないのが「無生物主語」と呼ばれる代名詞の存在。

これは上の主体と客体の問題とも関係あるんだけど、乱暴に言ってしまうと、無生物主語は「客観性」だと思う。

以下の文を比較してみよう。

I'm interested in learning Japanese history.

これを主語を it にしてみると、

It's interesting for me to learn Japanese history.

となるんだけど、it が主語のバージョンは、I が主語のものに比べて客観性が増していて、それは「日本の歴史を学ぶこと」という一般的事柄が主体になっているから、下の言い方では、一般的事柄に対する自分の感じ方を述べる、という構図になっている。

同じく、

There is room to improve your performance. / 余地がある

"You can improve ..." でももちろん文法的にはいいんだけど、"improve your performance" という事象を俯瞰して言及しているイメージで、より客観的になっていると感じられるんじゃないかと思う。主体が "I" や "we" なら、"We can improve our performance." と言って、「おれたちもっとやれるよ!」っていう熱い感じにする方がいいかもしれない。この辺の切り分けは難しいけど、相手を鼓舞するように言うなら "You can improve ..." でいいのかも。

本筋とはあまり関係ないけど、客観性に不確実性も加えたい、という局面が多々あって、自分のことではないから断言もできないことが多いわけで、そういう場合は、"may" や "seem" とセットで使うことが多い。上の例で言えば、

There seems to be room to improve your performance.

これでぐっと直接性が抑えられて聞こえるんじゃないかと思う。

ところで、There is/are ... という表現は「〜がある」と訳されることが多く、中には「〜がある」= There is/are ... と思っているひともいるようだから、そういう意味では、翻訳英語から脱却するためにも、主体にフォーカスして考えるといいと思う。例えば、「火曜日に大事なミーティングがあります。」という文を、

There is an important meeting on Tuesday.

と言ってももちろん間違いじゃないけど、

I have an important meeting on Tuesday.

と言う方が英語的だなと思う、ミーティングに参加するのは「私」だからね。

■ まとめ

  • 原則的には動作の主体が主語になる
  • 客体が重要な場合、主体が明確な場合、あるいは主体を明示したくない場合は客体を主語にする
  • 客観性を表現したい場合は、無生物主語を採用する

次回は、いったんこの話題を休止して、来年1月に受験するTOEIC SWについての計画づくり (もはや手遅れ感あるけど) について書こうと思う。