英語を上達させるプロセスについて考える

ひとりの英語学習者の試行錯誤の記録

第20回 英語のフレームワークをつくるための基礎的な理解(1)

たまに「英語らしい言い方」っていうのを聞くんだけど、その都度ふむふむって思いはしても、それについて深く考えてみたことはなかったので、今回は「英語らしい言い方」をするためのフレームワークについて書こうと思う。

フレームワークっていうのは枠組みのことだけど、それがなんで「英語らしい言い方」につながるのかっていうと、日本語を考えてから英語に訳してしまうと、この英語のフレームワークを使わずに英文をつくってしまう恐れがあって、さらにそのことが上達を阻害する要因にもなるので、英語のフレームワークの基礎を理解して、翻訳英語を使わないようにしよう、ということを言いたい。

■ 基本文型に見る英語のフレームワーク

□ 第一文型 (S+V)

121. It hurts.

これ面白い。日本語で「痛い」というときと同様、どこが痛いのかあらかじめ明らかになっている場合の表現で、例えば、足を踏まれたとか、肩をどこかにぶつけたとかによって痛みがあるときに使う。日本語でも「足が痛む」とか言うけども、「足が痛い」の方が一般的だし、その点では、英語の "hurt" が自動詞として「痛む」という意味で頻繁に使われるのは面白いと思う。

他にも、自動詞がどんな風に使われるのかっていうのを調べてみるのも面白いかもしれない。

自動詞と他動詞に関して色々調べていたら、以下の興味深いブログ記事を見つけたので紹介しておきます。特に、"explain" と "complain" に関する考察は面白い。両方共 "plain" を語尾に持つのに、"explain" は他動詞で、"complain" は自動詞として使われるのはなぜか、っていう。

自動詞/他動詞 日本語と英語の違い 日本語と英語をつなぐ/ウェブリブログ

それで思い出したんだけど、先日こんな文章を読んだ*1

あるひとが、ホームステイ先でグラスを割ってしまって、日本語では自然な表現である「グラスが割れました」という意図で "The glass broke." と言ったら、ホストから "The glass didn't break. You did it." と指摘されたっていうのを読んで、ああ英語っぽいなぁと思ったんだけど、これは、主語は単なる文法上の主語ではなくて、主体であるっていう点で、とても英語っぽいと思う。

日本語でいう「グラスが割れた」というのは、主語をグラスにすることによって責任の所在を曖昧にし、故意にやったのではない、ということを暗に表しているわけだけど、英語の場合は、"I broke the glass, but I didn't intend to do it." もしくは "I broke the glass by accident." と言わないといけないっていう、S+V の第一文型と第三文型の違いについて思いを馳せずにはいられない。

ちなみに、"... broke." って言えるのは、自然に壊れることがある類のもので、例えば、"My HDD broke." ならしっくりくる。繰り返しになるけど、動作の主体が何かっていうことなんだね、面白い。

思ったより長くなってしまった...

□ 第二文型 (S+V+C)

C は compliment = 補語で、S を修飾する語がくるパターン。

この文型で英語っぽいなぁと思うのは、以下のような文。

122. This leather feels great.

"I feel happy." とかはわりとピンとくるんだけど、上の文だと「革が感じる...?」なんて思ってしまっていまいちピンとこない。

同じことは、"look" にも言えて、「見る」っていう使い方と「見える」って使い方があって、戸惑う。

123. She looks tired. / 彼女、疲れてるみたいだね。

同じような意味で、

124. She seems tired. / 彼女、疲れてるみたいだね。

とも言えるが、"look" が見た目で判断できる状態であることで、"seem" は感覚的に判断できる状態であるっていう違いがある。細かいね。

他にも、"sound" = 聞いて〜だと思う、"taste" = 味わう、"smell" = 匂いがする、なんていうのがあってどれも頻出。

125. (It) Sounds nice. / それを聞くと素晴らしいって思う → いいね。

□ 第三文型 (S+V+O)

最もよく使われる、動詞の後に目的語の来るパターンは、あんまり英語っぽいなぁと思う使われ方はない気がする。

□ 第四文型 (S+V+O+O)

126. I'll show you the picture. / show = 見せる

この文型で使われる動詞は限られているので、よく使うやつはまとめて覚えてしまうのがいい。

give, lend, bring, pass, send, show, get, make, ask

127. I'll give you a hand whenever you need help.

上のは「手をあげる」ってかんじだけど、下のは「手を貸す」なので日本語と同じ。

128. Could you lend me a hand with this problem?

前置詞 "with" は、動詞が "help" のときも使うやつ。

129. I'll bring you back the book tomorrow. / bring ... back で「返す」

関係ないけど、留学中、先生に Harry Potter and the Philosopher's Stone を借りたんだけど、あまりに難しすぎて (知らない単語が1ページに10個くらい出てくる)、ほとんど読まずに返すことになったのが、苦い思い出です。で、卒業の日に、

"I have to bring you back the Harry Potter book though I've hardly read it because it's too difficult for me."

みたいなことを言った記憶が。

同じ "Philosopher's Stone" でも、まずは Fullmetal Alchemist (manga) の方がとっつきやすい。

閑話休題

130. Could you pass me the salt?

"get" でもイケる。

131. I'll send you an email later on. / later on = 後で

"send an email" とまとめて覚えておきたい。

132. Could you show me that document?

関係ないけど、ぼくの好きな映画 "Jerry Maguire" で、"Show me the money!" って連呼する場面があって、印象に残っている。


1:29 Jerry Maguire Show Me The Money! - YouTube

Cuba Gooding, Jr. が早口すぎて何言ってるか聞き取れないんだけど、Tom のセリフはわりと聞き取りやすい。あと、若かりし頃の Renee Zellweger がかわいい。

また脱線しちゃった...

133. Would you like me to get you anything? / 何か買ってきてほしいものある?

buy でもいける。

134. Could you make me something to eat? / 何か食べるものを作ってもらえますか?

cook でもいける。

135. Ask me anything, anytime! / なんでも聞いて、いつでもいいよ!

おまけでもういっこ。

136. Could you call me a taxi?

「タクシーを呼んでいただけますか?」という表現だけど、第五文型にも call を使った例がよく出るので初めはちょっと混乱しがち。

もし名前が長くて、相手が言いにくいだろうなぁと思った場合は (例えば、Kensuke だと言いにくいから Ken って呼んでくれ、みたいなとき)、

Just call me Ken.

みたいに使って、こちらは「ただ Ken と呼んでください → Ken でいいですよ」みたいなかんじになる。

taxi の例では、"me" と "a taxi" はイコールではないから、第四文型で、"call a taxi for me" と言い換えることができるけど、Ken の例では、"me" と "Ken" はイコールなので第五文型となり、別の言い方はできない。

□ 第五文型 (S+V+O+C)

これの有名どころでは、使役動詞と知覚動詞がある。

使役動詞は、「〜させる」とか「〜してもらう」とかの意味で、いくつかバリエーションがあるのでまとめて覚えてしまうのが吉。

make, have, get, let

いちおう、それぞれのニュアンスの違いを書いておくと、 make は「〜させる」と訳されることが多く、強制的 (半強制的も含む) にやってもらう場合に使うけど、それ以外にも、137 の例のような、何らかの外部からの作用によって、自分の意志に関係なく、何らかの動作を引き起こす場合にも使う。ちょっと文章にすると分かりにくいけど、例文を見ると分かると思う。

137. It made me laugh. / それが私を笑わせた → あれは笑えたよ。

「笑わされた」というかんじで、自らの意思ではないというニュアンスがあって面白い。 もういっこ。

138. What made you think so? / 何があなたにそう思わせたのか? → なんでそう思ったの?

こちらも、why did you think so? と聞くよりは、理由を外部に求めるので、非難するときとかに使うと少しソフトな言い方になる (相手に直接非を問わない) 。

make はこの構文では大活躍で、同様に、形容詞や過去分詞 (これも一種の形容詞と思ってもいいと思う) を取ることもできるので、併せて覚えておきたい。

139. It made me upset. / それで慌てちゃって。

upset の部分に別の形容詞を入れれば、色んな表現に応用できる。mad, happy, excited, etc.

140. Did I make myself understood? / make oneself understood = 理解してもらう; 理解していただけましたか?

この例は以前にも紹介した、使えるフレーズのひとつ。

have と get は強制ではなく、頼んでしてもらうかんじ。have は 後ろの目的語に動詞の原形を取るのに対し、get は to不定詞を取るって違いがあるので、間違えやすいから、ぼくは目的語に人がくるときは have で、モノがくるときは get を使うようにしている。また文章で書くと分かりづらいので、例文で。

141. I had my wife choose the gift for my colleague. 選んでもらった

これは "My wife chose..." と言い換えることができるので、元々は自分がやる予定だったけど、他のひとに代わりにやってもらった、っていうニュアンスがどうしても必要なとき以外は、こちらの言い方にしている。個人的には動作主が主語である方が自然だと思うので。

142. I got a hair cut. (cut は過去分詞) 髪を切ってもらった → 髪を切った。

上の例は、my wife がひとつめの目的語で人だから、have を使い、下の例は a hair がひとつめの目的語でモノだから、get を使っている。

"I got my wife choose..." とは言えないが ("to choose" にしなくてはいけない)、"I had a hair cut." とは言える。誰がこんなルールにしたんだと憤りながら、めんどくさいから上記のように使い分けることにした。

面白いのは、日本語だと「髪を切った」って主語を省略して、「(私が)髪を切った」と取れなくもない言い方が可能なのに対し、英語ではきっちり使役動詞を使わなければならないっていう点。日本語は難しいですなぁ。

最後の let は allow と似てるんだけど、「〜を許可する」という意味の「〜させる」。have/get と同じく、let は原形不定詞で、allow は to不定詞を使う。

143. Let me tell you about it. / 私に言わせてください

ついでに allow も載せとくか。

144. The company allowed the employees to use their own devices in the office. / 使うのを許した

知覚動詞は...あんまり使わないからいいや。

145. I've never heard anyone use a verb of perception!

長くなりすぎちゃったので続きは次回。

■ まとめ

  • 文法事項に沿って「英語らしい」言い回しをまとめて身につけることによって効率的に学べるんじゃないか
  • 使役動詞はよく使うからまとめて覚えよう (特に make, get)
  • 知覚動詞は...

次回はまだ決めてないけど、英語の文章をつくるときどの単語から始めるか問題について書こうと思う。