第1回 基本的な英語学習プロセスについて
コミュニケーション手段としての英語をどうやって上達させるか、ということについて、概念的なことや実践的なことをこれからブログ形式で書いていくんだけど、最初におおまかな学習プロセスの指針というかガイドラインを示しておくとそれを軸にして進められそうだなと思うので、基本的な進め方について書いておく。これは、自分がこれまでにやってきた方法や書籍等に書かれた他の方の方法を参考にして最近ようやくつかめたかな、というレベルのものなので、今後もブラッシュアップしていくつもり。
■ 概要
他の英語学習者と話していてときどき感じるのは、え、そのレベルでそのやり方早すぎない?ってこと。
よくあるのは、文法を理解していないのに、英会話のフェーズにいってしまう、とか、ほとんど聞き取れない・話せないのに、オンライン英会話を始めてしまう、とか。
自分のレベルに合った学習プロセスを見つけて、それに沿って進めていく方が効率的に学べるので、おすすめ。
もちろん、何段も高いところに身を置いて、むりやりジャンプアップするってのもありだと思うし、そのひとにあったやり方でやればいいと思うけど、堅実な方法、ということでひとつ。
ぼくの基本的なスタンスは、基礎から応用 (初級~中級~上級)、というステップ・バイ・ステップのプロセスを取った方が効率的のはず、というもの。
1. 準備
- 現在のレベルを知る
- 語彙力を測る
2. 基礎
- 文法の基礎を理解する
- 語彙を増やす (3000語)
- 発音の基礎を理解する
3. 実践
- 挨拶~自己紹介ができるようになる
- 会話に参加する、盛り上げるためのテクニックを身につける
- よく使う表現のストックを増やす
- 目に見えるものの描写と事実の説明方法を身につける
- 意見表明のテクニックを磨く
■ 詳細
1. 準備
1.1. 現在のレベルを知る
まずは、自分に何ができるか、を知ることが大事。そのための手段として TOEIC 等のテストは分かりやすいんだけど、決して安くはないので、無料でできる診断テストを受けるのでもいい。
TOEIC で判定しようというひとは、600点前後取れると基礎が出来てるとみなされるようなので、自分がそれより下か上かで方向を定めよう。
オンラインで、しかも無料で受けられる診断テストをいくつか受けてみたんだけど、下記のテストがとてもよかったので参考に載せておく。
大場昌也さんという大学教授の方がつくったもので、特に文法のテストが素晴らしいので、やってみてください。
60問あるんだけど、50問は超えたいところ。55問超えるようなら、文法面では問題ないと思うので、実践的な学習に進もう。逆に50問以下なら、間違えた箇所を中心に、文法書で再度学習した方がよさそう。
1.2. 語彙力を測る
あと、語彙力診断はだんぜん Weblio の診断テストがおすすめ。
英語の語彙力の測定テスト~英単語のボキャブラリーレベル計測試験~ - Weblio
推定語彙数が3000語超えるかどうか試してみてください。
2. 基礎
2.1. 文法の基礎を理解する
自己診断の結果、基礎ができてないと分かったら、まずは基礎から。
スポーツと一緒で、ルールや基礎的な動作が出来なかったら試合には出られないので、まずは基礎をしっかり固めること。
その点では、英語の基礎が義務教育で提供されるので、ちゃんと授業を受けていたひとは問題ないんじゃないかと思う (忘れてしまったというひとは多いかもしれないが) 。
文法があやふやなひとは文法書を一冊買いましょう。「一億人の英文法」がおすすめ。
一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)
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2.2. 語彙を増やす (3000語)
語彙はあんまり気にしなくてもいいと思うけど、知らない単語に出会ったときに放置しないで、単語帳に記録していく。
ぼくは Weblio を利用して、単語をカテゴライズして溜めていって、ときどき覚えたかどうか復習テストをしている。
Anki というマルチプラットフォームのアプリケーションが大変優れているので、これを使うのもあり。
2.3. 発音の基礎を理解する
発音に関しては、正しく身につけるのはホントに大変っていう実感があって、ネイティブ並にするためには多大な労力が必要なんだろうなって思うけど、そこまで極める必要はまったくないなって思う。会話中にえ?なんて言ったの?とかなんども聞き返されるようだとまずいけど、30分に一回とかなら十分なんじゃないだろうか。
ぼくは外国人と話すと割りと発音褒められるんだけど (お世辞というかちょっとでもいいと大げさに褒める、みたいなのはあるとは思うけど)、それでも間違って理解してた音もいくつかあるし、いまだにちゃんと発音できない音がたくさんある。
いちばん大事なことは、口を大きく動かして、腹から声を出すってこと、日本人の多くはとても声が小さいし、英語の発声をするための口の動きができてないので、聞き取りづらい。
電車の中とかで英語話してるひとがいたら聞いてみるといい、彼らはたいてい声が大きい。
自分が間違ってるってことを知らないっていうのは不幸なので、音の仕組み (口の動きや音の出し方) を理解しておくのは大事だと思うので、フォニックスの本を一冊紹介しておく。
CDBフォニックス<発音>トレーニングBOOK (アスカカルチャー)
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耳のいいひとはひとが喋ってるのを聞いて真似するだけで正しい発音を身につけられると思うけど、そうでもないひとのために、ってことで。
さて、基礎ができたら実践的な学習プロセスに進もう。
3. 実践
3.1. 挨拶~自己紹介ができるようになる
海外で日本人を見てると、意外と挨拶できないひとがいて、日本ではあまり挨拶してこないような類のひとが気軽に挨拶してくることも多いから、慣れてないがために一瞬たじろいでしまって無言になってしまうんだと思うけど、やればできるんだから、やっとくといいと思う。
自己紹介は、とてもいいコンテンツで、まずはここからスタートするのをおすすめする。
自分のことなのでよく知ってるはずだし、趣味の話とかは、掘り下げて話そうと思えば話せるはずなので、自分のレベルに合わせてどんどん進化させられるはず。
TOEIC で高得点取ってるひとでも、いざ自己紹介してくださいって言われると、何言ってるのかよく分からないなんてことがままあるので、せっかくの英語力が活かせてないなぁととても残念な気持ちになる。
そういうひとは、30分で書いてくださいっていうとたぶん書けると思うので、まずは原稿を書いて、それを覚えるっていう順番で取り組むといい。
3.2. 会話に参加する、盛り上げるためのテクニックを身につける
これは相槌や会話を進める上での決まり文句的なものを指す。
日本語での会話でも同じようなフレーズってたくさんあって、相手の話に合わせて「なにそれすごい」とか「おいおいちょっと待ってよ」とかよく言うでしょ、そんなかんじのフレーズをストックしていく。だいたいそうした決まり文句的なフレーズは短いので、会話初心者でも覚えやすいと思う。
3.3. よく使う表現のストックを増やす
相槌もよく使う表現ではあるんだけど、もうちょっと幅を広げて、単語を入れ替えると色々な文脈で使える便利表現のこと。
例を挙げると分かりやすいと思うので挙げると、
It's difficult for me to understand such a long explanation in English.
difficult を他の形容詞に置き換えたり、to 以下を別の動詞句に置き換えたり、応用がきくような文。
3.4. 目に見えるものの描写と事実の説明方法を身につける
抽象的なことより具象的なことの方が説明しやすいので、まずは写真描写や事実説明をしてみるといい。写真描写は、TOEIC SW でも採用されていて、30 秒で考えて 45 秒間で説明するのってすごくいいトレーニングになる。
事実説明っていうのは、例えば、4月に消費税が上がった → 消費者が消費を控えている → この半年景気が悪い、っていうような短い文をつなげていくこと。
何かのニュース記事を読んで要約するとか、その日にあった出来事を日記に書くとか、そういうのでいい。
3.5. 意見表明のテクニックを磨く
意見を言うっていうのは、事実説明だけをしていけばいい訳じゃなくて、それについてどう思うかっていう次のステップが必要になるから、難易度が増す。
これは英語力だけでなく、論理的思考も必要だけど、日本語でできないことは英語でもできないわけで、自分ができる範囲でいいと思う。
■ まとめ
コミュニケーション手段として英語を上達させるための効率的な学習プロセスを考えていて、まだ思うように使えるようになっていないから、自信があるわけじゃないけど、まぁ、こうやって地道に進めていけばいいんじゃないかなー、という程度には安定してきてはいるので、ひとつの指針にはなると思う。
基礎的な分野に関しては、教材や学習法がたくさんあってそれなりに効果あるとは思うけど、応用に関してはそんなに充実してないという実感なので、シンプルなステップで、かつステップ・バイ・ステップで上達させられればいいなぁ、と思います。