英語を上達させるプロセスについて考える

ひとりの英語学習者の試行錯誤の記録

第23回 TOEIC SW への本気の対策 (後編)

前回 Unit 1 〜 3 までについてまとめたので、後編では Unit 4 〜 6 についてまとめる。

■ Unit 4. 提示された情報に基づく応答問題

□ 問題構成

  • 設問数: 3問
  • 準備時間: 30秒
  • 回答時間: 15秒、15秒、30秒

□ 対策

この Unit では、セミナーなどの予定表や何かの店のチラシ(価格表)などの資料が提示され、それを見たひとから電話で質問される、という場面を想定して各問に応える。各問に対して準備時間が与えられるわけではなくて、30秒で資料に目を通し、質問は連続してなされる。

毎回苦労するのは、制限時間内でまとめること。何かを説明するのに15秒というのはとても短い。また、Unit 2. 写真描写や Unit 3. 応答問題と違って、自分で問題をつくることが難しく、模擬試験などに掲示されている資料を元に自分で複数パターンの質問をつくるくらいしか準備ができない。

とは言え、質問と回答のパターンはやはりあるので、それらを洗い出して個々に対策を立ててみる。

日時や場所を答えるパターン

例として、このページから下記のタイムテーブルを抜粋した。

CIC6001 Introduction to High Performance Computing & Grid Computing                      

Date/Time Location Topic
Tuesday,  14 October 2014,  9:30-12:30 Inf. Commons, Room 302 Unix Operating System
Thursday, 16 October 2014,  9:30-12:30 Inf. Commons, Room 402 Shell Script Programming
Tuesday,  21 October 2014,  9:30-12:30 Hicks Bldng.,  Room G39a Shell Script Programming
Thursday, 23 October 2014,  9:30-12:30 Inf. Commons, Room 402 Using Sun Grid Engine

このパターンでの典型的な質問は以下のようなもので、

I'd like to know when a "Shell Script Programming" class will be held.

または、

Could you tell me when a "Shell Script Programming" class will be held?

という形。

ここでは、ふたコマあるので、

Two classes will be held. One is from 9:30 to 12:30 on Tuesday, October 16th, and the other one is from 9:30 to 12:30 on Tuesday, October 21st.

(注) 日付の表示順はアメリカ式に変えてある。

注意しなければならないのは、日付の表記が October 16 と書いてあっても、October 16th と序数で言わなければならない、という点。

それに、このくらいの長さになると、ちょっとつっかえただけで、15秒をオーバーしてしまうので、特に日時や曜日を読むスピードは鍛えておこう。

以下参考までに。

今さら聞けない英語の日付!書き方・読み方、曜日等

それに加えて前置詞も迷わず出てくるくらいにまで慣らしておこう。

時間 (開始): at、日付 (曜日): on、月・年: in、期間: from ... to ...、場所: at or in

It will be starting at 10 p.m.

It will be held on Monday, December 15th.

It will start in January 2015.

The class is from 9:30 to 12:30.

It will be held at Sheffield University.

It will be held in Information Commons, Room 402.

日時に加えて場所が聞かれる場合もあるので、at と in の使い分けは瞬時にできるようにしておく。上記例で言えば、施設や建物の場合は at で、都市や部屋の場合は in になる。この区別は少し難しいんだけど、地図をイメージして、Google Map のようにピンが刺さっているようなイメージの場合は at で、円で範囲を示すようなかんじのイメージなら in になる。後は部屋や教室の場合も in。

値段やディスカウントについて答えるパターン

サンプルはこちらのページ

Tickets | San Diego Zoo

このパターンで聞かれるのは、子供料金が適用されるのは何歳ですか?とか 1-Day Pass にはどのようなサービスが含まれますか?とかだけど、脚注などで離れて示してある情報には注意が必要。

金額の読み方や金額計算に関連する用語については確実なものにしておこう。

$182 - one hundred eighty two dollars

The admission fee is $48 for an adult and the fee of "Backstage Pass" is $109. In total, it's $157. / in total - 合計で

You can get a 10 percent discount when you buy the ticket online. / 不定冠詞 "a" が付くのに注意

Every special ticket costs from $29 to $599 per person. / per person - ひとりにつき

per については他にも、"per day" とか "per hour" とかが考えられるので、資料を読む際に、料金がかかる単位を確認しておく。金額に関してはあまり大きな数字は出てこないが、3桁くらいまではスラスラ言えるように練習しておこう。

割引に関する表現は以下のサイトが参考になる。

DISCOUNT | 割引/割引をする/安売りの

質問者が間違っているパターン

問い合わせ内容が事実と異なる場合は、それを指摘し、正しい情報を伝えなければならない。

たとえば、「この宿泊プランに朝食はつきますか?」などと聞かれたが、実際にはついていない場合、

I'm sorry to say that this plan doesn't include breakfast. We have another plan including breakfast. We can change your reservation if you want.

などのように、訂正してあげる必要があり、また、"Am I right/correct?" などのように聞かれた場合には、

No, I'm afraid not.

のようにまず返答して、それから説明を加えると尚よい。

予約や申し込みをするパターン

ホテルやイベントの予約に関する問い合わせも十分想定される設問だけど、基本的には資料に記載されている事柄を説明してあげればいいだけなので、それほど大変ではないと思う。

とは言え、よく使う表現もあるので、それらを列挙しておく。

Two types of pass tickets are available. / available - 予約(あるいは購入)可能

I'm afraid we don't provide(offer) annual passes for the zoo. / provide(offer) - 提供する

You're required to buy an admission ticket when you buy a special tour ticket. / be required - 必要がある

Please be aware that each ticket must be used by the same person.

"be required to" は単に "need to" でもいいし、"it's necessary to" でもいいと思う。お好きなものを選んでください。

時間があれば、予約の際の注意事項などにも言及しておきたいので、"be aware that" や "be aware of" も覚えておこう。

■ Unit 5. 解決案を提案する問題

□ 問題構成

  • 設問数: 1問
  • 準備時間: 30秒
  • 回答時間: 60秒

□ 対策

この Unit は、留守番電話に吹き込まれた相談事や苦情などを聞き、それに対して解決策を提案したり謝罪したりするために相手の留守番電話にメッセージを録音する、というもの。

ここでのポイントは、

  • 相手のメッセージを理解していることを示す
  • 解決策や対策を示す

の2点。特に最初のは、リスニング力+記憶力も試されるので、相手の言っていることをよーく聞いて、何が問題なのかを把握して要約必要があり、なかなか大変。

さらに、こちらも Unit 4 同様、自分の不得意領域が出題されると途端に難易度が上がる。

ここでは、全体のうちテンプレート化できるところはテンプレート化し、解決策を示す部分にフォーカスできるよう対策を立てていきたい。

回答の組み立てとしては、

  1. 挨拶
  2. 相手の問題に言及
  3. 解決策を提示
  4. 締めの挨拶

回答時間が60秒もあり、時間配分が重要。1 と 4 で合わせて 15 秒、2 で 20 秒、3 で 25 秒、くらいのかんじが理想。

例として、以下の相談事(が留守電に吹き込まれていたとして)に対して解決策を提示してみよう。

How to find math online tutoring job with out degree in maths?

1. 挨拶

Hi, Devi. This is Jack.

ここまでで 3 秒。

相手が "Hi, Jack." などと名前を言う場合があるのでその場合はその名前を使い、言わない場合は架空の名前か自分の名前を言う。

相手との親密度というか、どのくらい礼儀正しく話した方がいいのか、というのを相手のメッセージから判断しなければならない。

相手が親しくない間柄であれば、"Hello, Mr.(Ms.) ..." で始めた方がいい。

2. 相手の問題に言及

I'm returning your call about your concern regarding the way to get online math tutoring job. You said that you wanted to know where you could find students who needed math tutoring and where you could apply for online tutoring without a degree in math.

ここまでで 30 秒。

心配事ではなく問題である場合は、"your concern" の部分が "the problem" または "the issue" になる*1。後半部分 "You said that ..." 以降は、相手のメッセージの最後の部分を間接話法で言い直しただけの文だが、実際のテストでは丸々暗記することは難しいので、要点のみ (この場合は、数学を学びたがっている生徒を見つけるにはどうしたらいいか、数学の学位がなくても申し込めるオンラインコースはないか、の2点) が言えてればOK。

3. 解決策を提示

相手が親しい場合

Why don't you apply for some freelance websites, like PeoplePerHour.com or oDesk?

相手が親しくない場合

I would suggest that you should apply for some freelance websites, like PeoplePerHour.com or oDesk.

"Why don't you" や "I would suggest" はそのまま覚えよう。

ただ、この程度だと60秒使うには足りないので、もう少し肉付けする必要がある。なぜ、この解決策を提示したのか理由を追加しておきたい。

I think those websites are very useful to find people who want something that you can give, and you can set the price for your tutoring on your own. It's really flexible.

ここまでで 50 秒。

4. 締めの挨拶

ここはもうまるっと定型文でいいと思うので丸ごと覚えておこう。

ただし、残り5秒を切っている場合は、"Thank you." だけでいい。

相手が親しい場合

If you want to talk to me more about it, call me at (000) 0000-0000. Thanks.

相手が親しくない場合

If you need further help about this issue, please call me at (000) 0000-0000. Thank you.

これで 60 秒。

過去にクレームに対するお詫びの電話、というシチュエーションがあったので、このパターンが通じないケースがあるってことは念頭に置いておきたい。

その場合は、

If you have any other concern about this problem, please call me at (000) 0000-0000. I'm sorry for the inconvenience.

のようにアレンジしよう。

■ Unit 6. 意見を述べる問題

□ 問題構成

  • 設問数: 1問
  • 準備時間: 15秒
  • 回答時間: 60秒

□ 対策

この Unit では、ある考えや意見に対して賛成か反対かを選んで理由を述べるパターンと、複数の選択肢からひとつを選んで理由を述べるパターンとがある。

準備時間が15秒しかないのが鬼なので、どの選択肢を選ぶかは一瞬で判断しなければならない。普段から考えていることであれば簡単だけど、考えてみたことがない場合やどちらでも構わないと考えている場合は、理由の付けやすさから選択肢を選ぶ、というやり方がいい。

問題の内容は多岐にわたるので、パターン化はできないけど、回答はある程度テンプレート化できるので、そこだけ列挙しておく。

回答の組み立ては、

  1. 自分がどの選択肢を支持するかを表明
  2. 理由を述べる (1)
  3. 理由を述べる (2)
  4. 結論

Unit 5 同様、時間配分が極めて重要で、1 に 10 秒、2 と 3 にそれぞれ 20 秒ずつ、4 に10 秒、を目標にしたい。

理由を述べる箇所は質問の形式によらず、導入と結論のみバリエーションを用意しておく必要がある。

1. 自分がどの選択肢を支持するかを表明

賛成か反対かを選ぶパターン

I agree with the idea that ...

選択肢(2つ)の中から選ぶパターン

このパターンでは、"Which do you prefer ...?" と聞かれることが多いので、以下のように "prefer" を使って答えよう。

I prefer to ...

選択肢の中から選ぶパターン

このパターンでは、"What do you think the most important thing when you ... ?" のように聞かれることが多いので、それをおうむ返しのようにして、

I think the most important thing when I ... is ...

のように答える。

ここまでで 10 秒。

2, 3. 理由を述べる

理由を述べる前に、二つの理由があることを以下のように示す。

I have two reasons that I think so.

First, ...

Second, ...

ここまでで50秒

そして最後に締めの文句。

For these reasons, I think ...

で、60秒。

理由付けに関しては、事前の対策を立てるのは難しく、質問を聞いてから考えるしかないんだけど、具体例を交えて理由を述べなさい、というような指定がある場合もあるので、注意したい。

フィリピンの英語学校に哲学的な宿題を出す先生がいて、「幸せを買うことはできるか」みたいなテーマで小論文書いてこい、みたいなのを平日ほぼ毎日やったけど、自分でお題目を探して、似たようなことをやるしかないと思う。

というわけで、横着なぼくは15回の模擬試験と解説が収録されている以下の本を買いました。

[CD-ROM付]TOEICスピーキングテスト リアル模試15回

[CD-ROM付]TOEICスピーキングテスト リアル模試15回

■ まとめ

  • Unit 4 については、日付・時刻、お金の表現をスラスラ言えるようにしておこう
  • Unit 5 については、相手の言っていることをよく聞き、解決策の提示以外のパートで取りこぼしのないようにしよう
  • Unit 6 については、自分でお題を探して場数を踏もう

次回からまた「英語のフレームワーク」に戻ります。ていうか、試験までの1ヶ月がんばろっと。

*1:problem と issue は違う。problem はだれにとっても問題であり解決すべきもの、一方、issue は賛成反対があり、議論して(解決すべきかどうかも含めて)検討すべきもの