英語を上達させるプロセスについて考える

ひとりの英語学習者の試行錯誤の記録

第15回 英語表現を豊かにするための取り組み(1)〜不定詞

今回から何回かに分けて、英語表現を豊かにするための取り組みについて書いてみたい。具体的には、どうやって基本的な構文を拡張しながら情報量の多い英文を構成していくか、ということ。文法用語を使わなければならないのは若干気が引けるけどしかたない。

対象は以下の項目:

  • 不定詞 (infinitive)
  • 分詞 (participle)
  • 関係代名詞 (relative pronoun)
  • 副詞 (adverb)

一番とっつきやすいのは不定詞かなぁと思ったので、まず初めに、不定詞について。

■ 概要

不定詞には、名詞的用法やら形容詞的用法やら色々あるけど、ここではあまり文法的なことは考えず、いくつかのパターンを知ることによって、表現の幅を広げていくようなアプローチを取ろうと思う。いずれも使用頻度が高く応用の効くパターン。

それは、

  • 形容詞 + to do
  • 名詞 + to do
  • 目的を表す to do

■ 詳細

□ 形容詞 + to do

これにはふたつのパターンがあって、

  1. 無生物 (it) が主語
  2. 生物 (人) が主語

1 のパターンは、

045. It's difficult to learn English.

における "difficult to learn" みたいな組み合わせのこと。他にも "interesting to read" とか "comfortable to walk" とか色々つくれると思う。日本語にすると「~するのは(難しい、面白い、気持ちいい)」みたいなかんじで、文法用語的には名詞的用法というやつ。

よく使われる形容詞は、

easy, difficult, hard, possible, impossible, necessary, important, interesting, boring, right, wrong, kind, nice, good, great, bad, awful, irritating, etc.

もう少し例文をつくってみると、

046. It's very kind of you to say so. / ~するとはとても親切です。→~してくださってありがとうございます。

047. It's almost impossible to do it by the end of today.

ふたつめのパターンは、1つめのに似ているんだけど、人が主語になるバリエーション。

048. I'm glad to meet you.

感情を表す形容詞に続いて、その感情や状況を起こした動作を補足する使い方。こちらは副詞的用法だけど、上のと関連しているので、一緒に理解した方がいいと思う。

例文 046 を以下のように言い換えることができる。

049. You're very kind to say so.

次に、感情を表す形容詞をいくつか用意して、このふたつのパターンを比べてみよう。

050. It's boring to watch TV alone.

051. I'm bored to watch TV alone.

上の方は、主語を it にすることよって「ひとりでテレビを観ること」が退屈であると言っていて、いつかの時点を思い出して言っているわけではなく、ある程度普遍的なものと捉えられている。

一方、下の文では、I が主語なので、今テレビ観てるんだけど退屈で... というニュアンスなので、昨日は退屈じゃなかったかもしれない。

よく似た "exciting / excited"、"irritating / irritated" などでもやってみよう。

□ 名詞 + to do

"something to do" とか "what to do" とか "things to do" とか色々応用して使えるんだけど、名詞(代名詞) + to do と言ってもいいかも。

052. I have something to tell you.

とか、

053. I have a lot of things to do today.

とかのいわゆる形容詞的用法。

このパターンも使用頻度が高い割に使い方が限られているので、まとめて応用できるんじゃないかと思う。

もう少し例文をつくってみると、

054. I haven't decided where to go this weekend yet.

"what to do", "when to do", "how to do" でもつくってみよう (不思議と "why to do" って言い方しないな) 。

055. There is room to improve this presentation. / 改善する余地がある

"room" の代わりに "possibility" とか "opportunity" とかが使える。

あとよく使うのが "way"、

056. I know at least 5 ways to make a phone call for free. / 5つの方法

"how to do" だと個数を指定できないし、この言い方だと "unique way" みたいに形容詞入れることもできるので、併用できるようになるとぐっと表現の幅が広がる。

あといっこだけ、

057. It's almost time to leave. / そろそろ行く時間だ。

"time to do" もよく使う。

□ 目的を表す to do

動作の目的を補足する使い方。副詞的用法のひとつ。

058. I went there to have a meeting with one of my clients.

"I went there because I have a meeting..." っていうこともできるけど、動作の主体が同じときに繰り返しを避けるっていうのも英語の作法なので、こういうケースのとき "because" の代わりにこっちを使いたい。

これはちょっとパターン化するのは難しいんだけれども、これをマスターすると表現の幅がぐっと広がるのでなんとかパターン化したい。まぁ、「~するために」っていうのを片っ端から英作文していけばいいんだけど、それだけだとちょっとざっくりしすぎているので、日記と組み合わせてみよう。

第8回 英語で日記を書くときに気をつけたい3つのポイント - 英語を上達させるプロセスについて考える に書いたとおり、ぼくは (ほぼ) 毎日日記を書いているので、少なくともひとつの文にこの不定詞を使うことを義務化してみる。

上のページに書いた以下の文を改良してみる。

I watched a lot of videos about drumming on YouTube.

これに目的を追加すると、

059. I watched a lot of videos about drumming on YouTube to learn about some basic practices to improve my drumming.

勢い余って「名詞 + to do」も入れてしまったが、「目的を表す to do」を入れるのは、人間の行動にはだいたい目的が伴うので、それほど大変なことじゃないんじゃないかって気がする。

パターン化できないほど汎用的ってことだから、ま、いっか。

これに慣れてくると、以下のような使い方もできるようになってくる。

060. I watched a lot of videos created to help those who want to learn drumming on YouTube, and most of them are really helpful for me to know basic practices.

"videos created to help" で「~するために~された」っていう過去分詞と組み合わせるパターン。

文が圧倒的に長くなってきてどんどんハードルが上がっていくけど、不定詞を使うと表現の幅が広がるっていうことの証左でもあるので、積極的にトライしていきたい。

実を言うと、まだこの辺は試行錯誤している最中なんだけど、日本語の「前から修飾していく」やり方より、英語の「修飾語句を後ろへつなげていく」やり方が合理的に思えるくらいには慣れてきたかんじ。

上に紹介した不定詞はどのパターンも何かの後ろにくっついて前の語句を説明していくパターンだから、英語の語順に慣れるためにもよいトレーニングだと思う。

■ まとめ

まずはこの4つのパターンを集中的に覚えよう。

  • 形容詞 + to do / it が主語
  • 形容詞 + to do / 人 が主語
  • 名詞 + to do / something to do, what to do, things to do, way to do, time to do, etc
  • 目的を表す to do / ~するために~する、~するために~された~を~する (ひぃぃ)

ちょうど過去分詞の話が出てきたので (ってわけでもないけど)、次回は分詞について。

Infinitive is one of the best ways to make your sentences better.