第14回 英語の句動詞を効率的に身につけるための学習プロセス
前回句動詞についてちょっと触れたので (deprive ≒ take away)、今回は句動詞について書いてみる。
正直言うと、句動詞を身につけるのはなかなかしんどいし、突き詰めていくときりがないので (virtually endless)、句動詞を覚えるメリットや効率的に身につけるための基本的なアプローチ、あと、少しだけだけど、よく使う句動詞を載せておこうと思う。
■ 句動詞とは
英語で言うと phrasal verb で、動詞と前置詞または副詞で構成されて動詞扱いされるフレーズのことで、例えば、
turn on / (灯りなどを)つける
みたいなやつ。動詞はどれも基本的なものだけど、後に来る語によっては元の動詞から想像しにくい意味になることもある。
■ 句動詞を覚えることのメリット
よく言われるのが、句動詞は口語的であるということで、日本語でも「奪う」の方が口語的で「剥奪する」の方が文語的であるのと一緒で、"deprive" よりも "take away" の方が会話では一般的ということになる。まぁ、個人的には会話で "deprive" 使ってもいいと思うけど、句動詞に使われる基本動詞と前置詞 (または副詞) に強くなるっていうのはメリットだと思う。
"get" や "take" などの基本動詞は意味が幅広く、実際の用法を文脈ごと理解しないと使えるようにならないことも多いので、より深く英語の考え方に触れることができるんじゃないか、という希望もある。まだまだこれからのことだけど、以下のようなテキストの力も借りながら体に染み込ませていきたい。
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■ 基本的なアプローチ
"get" や "take" などの基礎動詞が持つイメージと "on" や "away" のような前置詞 (または副詞) の持つイメージを組み合わせて出来上がるイメージをつかんで、句動詞の意味を理解するっていうアプローチがいい。例えば、"take away" だったら、"take - 取る" と "away - 離れて" を組み合わせて「取って離す」= "take away - 奪う" になる、というかんじ。
ちなみにそれぞれの意味を英英辞書で引くと、
take - to move something or someone from one place to another
away - moving so that you go further from a person, place, or thing
となっている (いずれもMacmillan Dictionary より)。
■ 先に前置詞(また副詞) - particle を理解する
これまで「前置詞 (または副詞)」と書いてきたが、正直めんどくさくて個人的にはどうでもいいと思ってるんだけど、英語では particle - "an adverb or preposition used with a verb to form a phrasal verb" というらしいので、以下 "particle" と書く。前置詞と副詞は、文法上便宜的に分かれているに過ぎないので、同じ単語だったら同じように考えた方がラクじゃないかと思うんだけど。
閑話休題。
では、まずは句動詞でよく使われる particle を理解するところから始めよう。予備知識なしに句動詞を覚えようとするとただの暗記になりかねない。
particle の理解のためには、イメージを使うのがよくて、そういった観点から解説している書籍もいくつかあるし、「英語 前置詞 イメージ」とかでググってみると、イラストによる前置詞の説明がたくさん見つかると思うので、ネット上のリソースを活用してもいい。
以下の本がイラスト入りで分かりやすかった。
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さて、いくつか例を挙げておくと、
"take away" とよく似た take off" というのがあるけど、代表的なものだけでも意味が3つ4つあって、
You need to take off your shoes when entering into a house in Japan. / 脱ぐ・はずす
The airplane has just taken off. / 離陸する・飛び立つ・出発する
I took a day off yesterday. / 休みを取る
とか。
「マンガでわかる前置詞」には "away" と "off" の違いをイラスト付きで以下のように説明している。
away「離れて」は単に「距離が離れる」というイメージです。
off「離れて」は「ある対象と接触していたところから離れる」という分離のイメージです。
offは「瞬時に離れる」イメージですが、awayは「徐々に離れていく」イメージです。
とても分かりやすい。
上記3つの "take off" を使った例文も「接触していたところから離れる」というニュアンスで、それぞれ日本語に訳さなくてもすべて理解できるんじゃないかと思う。
■ 動詞を理解する
句動詞に使われるのは基本動詞 (get, have, make, take, etc) が多く、どれも色々な使い方のできる、簡単だけど手強い単語なので、句動詞を通してこれらの使われ方を理解するのはいいアプローチだと思う。
試しに英英辞書で "take" を引いてみると、26個もの意味が載っている。
- move someone/something
- cause someone/something to move
- perform action
- need something
- accept something
(以下略)
take - definition. American English definition of take with pronunciation by Macmillan Dictionary
"take off your shoes" における "take" の意味は、 1 の "move someone/something" にあたると思われるが、"move" と "off" が組み合わさって、「動かして離す」→「脱ぐ」となる、という具合である。
これも、いちいち "take" の意味を日本語にしなくても、靴を脱ぐ動作をイメージして、動き "move" と対象との関係性 "off" がビジュアルで理解できるんじゃないだろうか。
まぁ、例に挙げたような分かりやすいものだけじゃないのが句動詞のイタいところだけど、とっかかりとしてはいいんじゃないかと思うし、慣れてきたら難易度の高いものに挑戦していけばいい。
■ 例文
□ イメージしやすい句動詞
039. Could you turn on the light? / オンに変える → (灯りを)点ける
"on" / "off" はスイッチをイメージすれば分かりやすい。他にも、"get on" (乗る) / "get off" (降りる) とか、イメージしやすいのが多い。
040. His new book has come out. / 外に出る → 出版される
"out" / "in" も分かりやすい particle。"out" は "out of" となって、「~から出て行く」という使い方も多い、"get out of" とか。最初は、"on" / "off" と合わせて、この辺の particle を軸に攻めていくといい。
041. I don't get along with my boss. / ~と共に行く → (関係が)上手くいく
ちょっと分かりにくいかもしれないけど、"along" は「沿って」という意味があるので、転じて「従って」となり、良好な関係のイメージつながる。
□ イメージしにくい句動詞
042. I came across one of my ex-girlfriends yesterday in Shibuya. / 横切って行く(?) → 遭遇する
「偶然」というニュアンスがある "come across" なんだけど、歩いてるときとかに視界を横切るみたいなイメージだろうか。
ちなみに、"go" と "come" を「行く」と「来る」って覚えてるひとがたまにいるけど、これは厳密には間違いで、対象から離れるのが "go" で、近づくのが "come" です。"I'm coming." で「すぐ行くよ」とか「いま向かってるよ」って意味になる。
043. The rainy season set in. / 中に固まる(?) → 始まる
"set" を自動詞 (目的語を取らない形) で使っている珍しい例で、「凝固する」とか「定着する」とかっていう意味があったので、ある期間に突入するとかある状態に変化するイメージで、「始まる」なのかなと想像してみる。
044. I take over the job from her. / 全部を引き受ける(?) → 引き継ぐ
これはまぁ分かりやすいかもしれない。"over" は「(離れて)上に」という意味が一般的だけど、"over the world" に見られるように「あちこち」とか「隅々まで」とかっていう意味もあるので、この場合は後者なんだろう。
■ まとめ
- particle (前置詞または副詞) を英英辞書で引いてどのような意味があるのか把握する
- 句動詞で使われる動詞を英英辞書で (ry
- まずはイメージしやすいものから覚えていく
- 慣れてきたらイメージしにくいものにトライ
句動詞って楽しい、と思えるようになったら最高なんだけど、なかなかそうはならないところが、理解を更に難しくしている要因かもしれない。
そのために、自分なりのこじつけ、というか、イメージを膨らませて、状況や動きなんかを句動詞に結びつけながら覚えていくと少しは楽しくなるんじゃないか、と自分を鼓舞するためにも付け加えておきます。
次回は不定詞について書いてみたい。