英語を上達させるプロセスについて考える

ひとりの英語学習者の試行錯誤の記録

第26回 短期間で効率的に英語のリハビリをする方法 (2)

前回のエントリにも書いたように、二年振りくらいに英語学習を再開して、この二ヶ月英語に触れる機会を増やしてみたものの、衰えっぷりが容赦ないかんじでだいぶ凹んでた一ヶ月だった。

リハビリと言いつつ、次のステップへ向けての施策も試し中。

1. 二ヶ月目にやったこと

1.1. オンライン英会話

オンライン英会話再開した。レアジョブの1日25分毎日やるプラン。

いちおうテキストはあるが、テキストに沿ってやるとどうしても流れ作業的になってしまうので、雑談多めにして、2回のレッスンでひとつの章を終わらせるくらいのペース。

日常会話って、やっぱり日常会話やらないと上達しないので、無理矢理にでも雑談するようにしてる。

1.2. 英会話ミートアップ

前も通ってたやつなんだけど、毎週月曜日、プログラミングしながら英語しゃべるミートアップにまた行きだした。去年の仕事が客先常駐で行きづらかったので行ってなかった。

meetup.com

自分の仕事に関わる会話を英語でできるなんて本当に素晴らしい機会なので、主催のSHIFTBRAIN さんには感謝してもしきれない。ウェブ制作の会社みたいなので、いずれ一緒に仕事する機会があったらいいなぁ、なんて思ったりして。

1.3. セブ

二年振りに行ってきた、一週間だけだけど。前回行ったときに友だちになったひとたちに会いに行ったかんじ。

みんな仕事終わりや休日に時間つくって会ってくれて、がっつり英語しゃべってきたので、いいリハビリになった。

あと、ホテルの近くのコンビニ風民家売店でたむろってた現地の若者たちと友だちになって、夜な夜なビール飲みながらしゃべったりした。 近隣はリゾートホテルがたくさんあって、そのうちのひとつで働いている同僚同士で、仕事終わりに店の前でビール飲むのが日課だそうだ。

彼らにはオープンエアーなバーに連れてってもらったり、フェスティバルに誘ってもらったり (結局行けなかったけど)、よくしてもらった。 連絡先交換せずにお別れになってしまったのが心残り。

英語漬けの環境に身を置くのが手っ取り早いと思って何にもプランを立てずに行ったけど、結果的に英語話しまくったので、よかった。

セブの政治問題 (ちょうど選挙キャンペーン中だった) や個人的な内面のディープな話とかもちょっとできたし、お互いの距離も縮まったんじゃないかと思う。

2. リハビリのあとのステップ

2.1. ボキャブラリー

前は、単語力は今のままでぜんぜんいけるわーとか思ってたけど、英語学習を再開した今はぜんぜん足りないなーと思うようになった。

ちなみに、現在のWeblio の語彙力診断では平均するとLevel 12 (5501 - 6000語) ではあるんだけど、とっさに出てくる単語数で言うと半分以下なんじゃないかって思う。

重要なのは、話してる最中に、あーもっとふさわしい単語あったよなーという感覚を得られるようにすること。

単語学習で、

知らない → 知ってるけど使えない → 知ってるし使える

という段階を踏むために、

  1. 「知ってるけど使えない」単語をWeblio にがんがん溜めて覚える (Level 15くらいにはいきたい)。
  2. 使えるようになるために、例文を集めてAnki に登録、瞬間英作文で文を覚える。

たとえば、「記憶が曖昧で」と言いたくて、なんて言えばいいんだっけと思いながら ambiguous と言ってしまったことがあって、正しくは vague なんだけど、こういう知っててもとっさに出てこない単語は、文単位で覚えるようにしないとダメ。

146. I have a vague memory about what I saw there.

とか

147. The main feature of this scheme is still ambiguous.

みたいな。

ちなみに、

vague - not clearly or fully explained

ambiguous - not clear and therefore capable of being understood in more than one way

という違いがあるのは、英英辞書引いた方がはっきり分かるので、積極的に英英辞書使っていきたい。

2.2. 英会話

日本で英会話っていうと、とかく日常会話とビジネス会話が中心になりがちだけど、どうしてもシチュエーションを汎用的にせざるを得なくて (買い物とかミーティングとか)、自分がよく英語を使うシチュエーションを中心にした方がいいに決まっているので、あまりテキストに引きずられずに、自分でシチュエーションをつくっていくようにした方がいいと思う。

前述のミートアップが、ただ行ってプログラム書くだけ、みたいな場になりがちなので、もうちょっと英語学習に寄せた活用の仕方を模索していきたい。

というわけで、今月から、元同僚の日米バイリンガル C氏とマンツーマンで、こちらがプログラミング教える代わりに英語を教えてもらう会を発足したので、そっちで色々実験してみたい。

この報告はまた別途できたらします。

■ まとめ

次回はいつになるやら

第25回 短期間で効率的に英語のリハビリをする方法

去年は英語を使う仕事が得られなかったというのもあって、まったくと言っていいほど英語を使わずに過ごしてしまった。 たまに仕事でベトナム人と、プライベートでフィリピン人とチャットするくらいだった。

今年も英語を使う魅力的な仕事に出会えるかどうかはあまり期待できないので、正直あまりモチベーションがないんだけど、丸一年放置していたのでだいぶ英語力が衰えているだろうということで、仕事をしない予定のこの 1, 2 月で、リハビリがてら英語学習を再開しようと思う。

というわけで、実際にやる前に (ホントは始めてるけど) プランというか流れみたいなのを考えてみた。

便宜上番号を振ってあるけど、どこを重点的にリハビリするかってことで別に並行してやってもいいので、あくまでもスタートする順番ってことで。

■ 1. 最初の1ヶ月

最初の1ヶ月は、文字通りリハビリ。口・耳・脳みその順に、英語学習をやめたときの水準に戻す作業。

なんで口からかっていう理由は特にない。リスニングからでもいいと思うけど、スピーキングは能動的なアクションで、リスニングは受動的な要素が多いアクションなので、再開するんだったら能動的なアクションから始めたいなと思っただけ。

□ 1.0. 初心に帰る

まずは自分のブログの最初のエントリーを読み返すところから。

まぁ、たぶん一年やそこらじゃブレないとは思うけど念のため。

mtmt101en-learning-process.hatenablog.com

発音が大事っていうのは変わらず思っていて、ちょっと伸び悩んだところでもあったので、基本からやり直すぐらいの気持ちで取り組んでいきたい。

□ 1.1. 発音

まずは発音から。口を動かして、衰えている英語の筋肉を呼び覚ます。

具体的には、[æ], [ɚ], [ɔ] などの苦手な母音を含む単語の発声。

  • [æ] - bad, matter, ran, etc.
  • [ɚ] - early, learn, work, etc.
  • [ɔ] - awful, bought, call, thought, etc.

日本語話すときにはまず起こらない口の動きが英語にはたくさんあるけど、まずはこのみっつかな、と。よく使う単語で練習するといいと思う。

フォニックスでいうと "A", "ER", "AU・AW" のみっつ。

CDBフォニックス<発音>トレーニングBOOK (アスカカルチャー)

CDBフォニックス<発音>トレーニングBOOK (アスカカルチャー)

ここまで書いてて、発音矯正のときよく注意された "Y" と "F" / "V" もやっとくべきだなと思った。

  • [j] - year, yesterday, young, etc.
  • [f] - favor, feel, fine, etc.
  • [v] - vacation, value, vocabulary, etc.

最初のうちはとにかく口が動かなくて難儀するけど、慣れるまで何度も口に出して叩き込むしかない。

少し慣れてきたら EnglishCentrel で発音チェックしてみるのもいいかもしれない。

□ 1.2. リスニング

英語の発音に慣れてきたらリスニングも始めてみる。

できればシャドーイングやりながらの方がいいかなぁ。

単文、ダイアログ、モノローグをノーマルスピードで収録してあって、オールマイティーに使える超絶便利なこの本を使う。

絶対『英語の耳』になる!リスニング50のルール 徹底トレーニング編 CD3枚付

絶対『英語の耳』になる!リスニング50のルール 徹底トレーニング編 CD3枚付

この本は、リンキング (連結) やエリージョン (脱落) などによって起こる音声変化に特化したリスニング教材で、大量に例文も載っていて (CD 3 枚で例文 1800 以上!)、いいトレーニングになる。

ひとまずここではリハビリなので「Stage 1」を繰り返し聞き、シャドーイングも混ぜながら英語の音に慣れるようにする。

「Stage 1」をひと回しやるだけでも相当疲れるはずなので、一回で数ページがいいんじゃないかと思う。

時間が取れたら少し長めの音声を聴くのも取り入れたいけど、ボーッとして聴くのもアレなので、TED で興味のあるテーマのスピーチを見つけたら観てみる、くらいのテンションでいいかな。

□ 1.3. 瞬間英作文

前にも書いたかもしれないけど、書籍の「瞬間英作文」シリーズには中学校の教科書のような「いつ使うんだこんな文」みたいな例文がたくさんあるので、ちゃんとやるときは自作した英文を使うようにしているけど、リハビリに使うのはぜんぜん問題ないので、手元に適度な難易度の瞬間英作文リストがない場合は書籍から拾ってもいい。

要は英語の文単位での発声に慣れることが第一で、中身は二の次。

逐次翻訳じゃなくて、日本語をパッと見て即座に英語の文が言えるようになるまで繰り返す。

10~30くらいの文を繰り返しやるのがいいと思う。

レベル別に分かれているので「シャッフル」がいいかな。

スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング

スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング

とりあえず最初の一ヶ月はこんなところかな。

スポーツに例えると、ストレッチからの軽いランニングなイメージ。

発音トレーニング中心にやるならオンライン英会話やってもいいかなーと思ったけど、まずは日常生活に英語学習を組み込むことにも慣れなければいけないわけで、最初からあまりぎゅうぎゅうに詰めてしまうとツラいなと思ったので、まずはゆっくりしたペースで始めることにした。

二ヶ月目は、オンライン英会話を中心に、会話に必要なボキャブラリーやイディオムを思い出す作業に充てるつもり。

別に三週間目くらいからシフトしてもいいけど、まぁ月単位の方がキリがいいので。

というわけで二ヶ月目は以下次号。

第22回 TOEIC SW への本気の対策 (前編)

前回まで「英語のフレームワーク」について書いてきたんだけど、このたび、三度目の正直というか、仏の顔も三度というか、とにかく来月 (2015年1月) 性懲りもなく再度 TOEIC SW に挑戦することにしたので、急遽、TOEIC SW の対策について書いておこうと思う。参考にしたのは以下の書籍。

頂上制覇 TOEIC(R)テスト スピーキング/ライティング 究極の技術(テクニック) (頂上制覇 TOEIC(R)テスト 究極の技術(テクニック) シリーズ)

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  • 作者: ロバート・ヒルキ,上原雅子,横川綾子,トニー・クック
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言い訳というわけじゃないんだけど、過去2回とも、ほとんど対策をせずに、初回はどういう形式の問題が出るか、時間配分はどれくらいか、というところをさらっと見た程度、2回目はそれのおさらい程度で臨んで、これはテスト用に対策を講じないと高得点は望めないとはっきりしたので、今回は1ヶ月前から (すでに遅いという意見もあるだろうけど) 各パート、準備できるところは抜かりなく準備しておこうと思う。

ただし、対策を講じるのは Speaking のみに絞ろうと思う。というのは、Writing は Speaking よりも時間をかけられる分だけ楽で、内容も、最後の小論文的なものが難易度高いだけで、Speaking 対策ができていれば、Writing もそれに影響されて上がるはずだ、という期待があるから。

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第21回 英語のフレームワークをつくるための基礎的な理解(2)

「英語らしい言い方」についての考察をまとめる企画第二弾は、主語の選択、について。

と書くとなんのこっちゃなんだけど、頭の中で英作文をするにあたって、主語を何にするかについてのフレームワークをつくっておくと、それに引きずられて残りの言葉も出てきたり、自然な表現になったりするんじゃないかっていう期待がある。日本語の主語と比較しながら検証していきたい。いままで書いてきた内容と被る部分もあるんだけど、ご容赦ください。

■ 主体と主語

□ 主体と客体、あるいは能動態と受動態

英語では常に主体が何か、ということを意識しておく必要があると感じている。前回紹介した、"The glass broke." の事例では、グラスは勝手に割れない、あなたが割ったんでしょ、という当たり前のことを言っているにすぎないが、他にも「彼から貰った」みたいな、日本語にありがちな、主体である「彼」を主語にしないタイプの文を "I was given from him." みたいに「訳して」しまうのも筋が悪い (もちろんこの場合は "He gave it to me." か "He gave me it." になるだろう)。

作用を表す動詞 (上記の例では "give" ) を使う際は、その主体と客体を意識する必要があるけども、客体の方が重要な場合もあるので、その場合はもちろん受動態を使う。

The suspect will be caught sooner or later.

もちろん、

The police will catch the suspect.

と言ってもいいんだけど、この場合、容疑者を捕まえるのは警察というのは明らかなので、受動態がしっくりくるように感じる。

同様に、以下のような文も、受動態がよさそう。

Rules are made to be broken.

日本語では「ルールは破られるためにある」となるが、英語において、このようなケースでは、前述のとおり、ルールは勝手に存在しない、作られるものだ、という原則が適用される。このように、一般化された事柄を述べる際は、能動態では表しにくい。

Salary is paid on the 25th of every month.

とか。

もうひとつ、受動態の適したパターン。

The problem has been solved.

これも客体にフォーカスしたパターンだけど、だれがその問題を解決したかを意図的にぼかしていることが、主体が明確なパターンと異なる。この場合だれが解決したかは重要ではなく、問題が解決されたことが重要なのだ、というニュアンスになる。

というわけで、原則として、(1)動作の主体を主語にする、(2)主体が明確である、一般的な事柄を述べる、または主体を明示したくない場合は動作の客体を主語にして受動態、という切り分けでいいように思う。

日頃から動作の主体は何か、主体と客体どちらが重要か、という点に気をつけて英作文していきたい。

□ it と there

もうひとつ、主語をどうするか、というときに考えなければいけないのが「無生物主語」と呼ばれる代名詞の存在。

これは上の主体と客体の問題とも関係あるんだけど、乱暴に言ってしまうと、無生物主語は「客観性」だと思う。

以下の文を比較してみよう。

I'm interested in learning Japanese history.

これを主語を it にしてみると、

It's interesting for me to learn Japanese history.

となるんだけど、it が主語のバージョンは、I が主語のものに比べて客観性が増していて、それは「日本の歴史を学ぶこと」という一般的事柄が主体になっているから、下の言い方では、一般的事柄に対する自分の感じ方を述べる、という構図になっている。

同じく、

There is room to improve your performance. / 余地がある

"You can improve ..." でももちろん文法的にはいいんだけど、"improve your performance" という事象を俯瞰して言及しているイメージで、より客観的になっていると感じられるんじゃないかと思う。主体が "I" や "we" なら、"We can improve our performance." と言って、「おれたちもっとやれるよ!」っていう熱い感じにする方がいいかもしれない。この辺の切り分けは難しいけど、相手を鼓舞するように言うなら "You can improve ..." でいいのかも。

本筋とはあまり関係ないけど、客観性に不確実性も加えたい、という局面が多々あって、自分のことではないから断言もできないことが多いわけで、そういう場合は、"may" や "seem" とセットで使うことが多い。上の例で言えば、

There seems to be room to improve your performance.

これでぐっと直接性が抑えられて聞こえるんじゃないかと思う。

ところで、There is/are ... という表現は「〜がある」と訳されることが多く、中には「〜がある」= There is/are ... と思っているひともいるようだから、そういう意味では、翻訳英語から脱却するためにも、主体にフォーカスして考えるといいと思う。例えば、「火曜日に大事なミーティングがあります。」という文を、

There is an important meeting on Tuesday.

と言ってももちろん間違いじゃないけど、

I have an important meeting on Tuesday.

と言う方が英語的だなと思う、ミーティングに参加するのは「私」だからね。

■ まとめ

  • 原則的には動作の主体が主語になる
  • 客体が重要な場合、主体が明確な場合、あるいは主体を明示したくない場合は客体を主語にする
  • 客観性を表現したい場合は、無生物主語を採用する

次回は、いったんこの話題を休止して、来年1月に受験するTOEIC SWについての計画づくり (もはや手遅れ感あるけど) について書こうと思う。

第20回 英語のフレームワークをつくるための基礎的な理解(1)

たまに「英語らしい言い方」っていうのを聞くんだけど、その都度ふむふむって思いはしても、それについて深く考えてみたことはなかったので、今回は「英語らしい言い方」をするためのフレームワークについて書こうと思う。

フレームワークっていうのは枠組みのことだけど、それがなんで「英語らしい言い方」につながるのかっていうと、日本語を考えてから英語に訳してしまうと、この英語のフレームワークを使わずに英文をつくってしまう恐れがあって、さらにそのことが上達を阻害する要因にもなるので、英語のフレームワークの基礎を理解して、翻訳英語を使わないようにしよう、ということを言いたい。

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